MAGIC:the Gathering その5(むすび)
マジックについて数回にわたり紹介したが、一旦当記事をもって区切ろうと思う。
まだまだマジックについて触れたいことは山程あるが、一先ずの締め括りとして何がよいか考えた。
・カードタイプ
・デッキのアーキタイプ
・思い出のカードやデッキ
・新カードセット説明
と様々思い浮かんだが、「色の特性と代表種族」にしようと思う。
<基本色の特性>
以前の記事にて「土地」の紹介をした際にも少し触れたが、マジックのカードには「色」という特性が存在する。
「白」、「青」、「黒」、「赤」、「緑」の基本となる5色はそれぞれ基本土地に対応しており、特徴がつけられている。
簡単に書くと、以下の通りだ。
・白: 秩序や防御、回復に関連したカードが多い。
・青: 知性やカードドロー、カウンターに関連したカードが多い。
・黒: 残虐性やクリーチャー除去、ハンデス(手札破壊)に関連したカードが多い。
・赤: 攻撃性や直接火力、土地破壊に関連したカードが多い。
・緑: 自然や大型クリーチャー、マナ加速に関連したカードが多い。
一部、黎明期や役割整理前後、「次元の混乱」などでは上記と異なる場合もあるものの、
概ね色特性に準じたカードとすることで差別化が図られている。
また色を組み合わせた“多色”のカードやデッキも存在するが、その場合も上記の役割の組合せとなることが多い。
背景ストーリーには2色の組合せとしてラヴニカ次元の「ギルド」と呼ばれる組織の存在もあり、それによる特色もある。
(例えば、青白の「アゾウリス評議会」は法を司り規律を重視するギルドだ)
大会などのトーナメントシーンでは、対応力を増すため、もしくは各色や多色のパワーカードを使用するために多色化したデッキが多い。
<5色の主要な種族>
上記の色の特性を踏まえた上で、次は各色よの主要な種族を確認する。
マジックに存在する生物や(プレインズウォーカー以外の)人物は「クリーチャー」と呼ばれ、色毎に主要な種族が存在している。
・白: 天使、人間、コー、…
・青: マーフォーク、スフィンクス、フェアリー、イリュージョン、…
・黒: ゾンビ、デーモン、吸血鬼、ネズミ、…
・赤: ゴブリン、ドラゴン、フェニックス、…
・緑: エルフ、ハイドラ、ワーム、ツリーフォーク、…
まぁ人間などは各色に多数存在するのだが、筆者の中でイメージが強い色に当てはめると上記のようになる。
※一応触れておくと、色を持たない無色の場合も存在する。
多くは「アーティファクト・クリーチャー」という機械などの無生物であるが、
マナを喰らい尽くし荒廃をもたらす「エルドラージ」という種族も色を持たない代表例だ。
ゲームの側面から見た場合、単色で種族を寄せたデッキは尖った構成になりやすく、かつ強さもイマイチな「ファンデッキ」に収まりがちではある。
しかしながら、中でも「マーフォーク」、「ゴブリン」、「エルフ」は単色で組んでもかなりの強さを誇る。
また先に紹介した基本5色のいずれかのみではなく、全色がメインカラーな種族も存在する。
マジックにおける人気も高い、「スリヴァー」を紹介しておかねばならないだろう。
<スリヴァー>
「スリヴァー」はマジックにおける架空の生物である。
各色に満遍なく存在しており、マジック史上初の5色クリーチャー「スリヴァーの女王」を輩出した種族でもある。
英語表記の「sliver」は“細長い破片、とげ”を意味し、その姿はささくれ立った小型のワーム、または寸胴な蛇にも似ている。
伝統的なスリヴァーは尖った頭部に鉤爪、二股に別れた尾を備えた姿をしているが、次元によっては人形に近いシルエットをしている。
群体として能力を互いに共有するという特異な性質を有しており、カード上でも再現されている。
(“すべてのスリヴァー・クリーチャーは○○を持つ”といった能力で定義されることが多い)
種族テーマとして飛び抜けて魅力的なこの部族は、多くのファンを魅了してやまない。
かつて「デュエルマスターズ」の主人公が使用していたことも人気の一因ではないだろうか。
筆者もその内の一人であり、旧枠の特定セットにのみ収録されていたこの種族が新枠で改めて取り上げられた際は喜んだものである。
(実際、当時「スリヴァー軍団」が収録されていなかったら、マジックは放置していたかもしれない)
<おわりに>
上記以外にも魅力的なクリーチャーはたくさんいるのだが、ひとまずはここで紹介を終えようと思う。
少しでも琴線に触れらるものがあったら、wikiや対戦動画なども確認することを是非におすすめする。
次回以降は、マジック以外の趣味もまとめていこうと思う。
MAGIC:the Gathering その4(フォーマット②)
引き続きフォーマットについて。
前回は一対一、かつカードセットで分類した場合のフォーマットを紹介したので、今回はそれ以外をざっと確認する。
<限定構築の分類>
・シールド
「リミテッド」(略称:リミテ)と呼ばれる限定構築戦の1つ。
お互いに“未開封”のブースター(通常6パック)を用いて即席で構築したデッキ(通常40枚)を用いて対戦する。
カードセット発売に合わせたイベント「プレリリース」で開催されることが多いと思うが、筆者は参加経験がないのでよく知らない。
新しい環境下、限られたカードプールでの戦いは、運と情報と構築力がものを言う。
こちらも「リミテッド」の1つで、「シールド」同様に未開封のブースターを使った限定構築戦ではあるが
自分が開けたブースターのカードをすべて使えるわけではない点に違いがある。
複数人同時に開けたパックから1枚選択(ピックアップ、ピック)し、残りを順繰りに隣へ回しつつ集めたカードでデッキ(通常40枚)を構築し対戦する。
過去、ドラフトをテーマにしたカードセット「コンスピラシー」や「コンスピラシー:王位争奪」も発売された。
野球のドラフト会議のように有用なカードはすぐに取られてしまうが、ピックしたカードと色が会わずに泣く泣く協力カードを見送ることも。
“選抜”された精鋭たちを信じて勝利を目指そう。
・パウパー
過去に「コモン」(マジックで最も低いレアリティ)として収録されたことのあるカードのみを使用するフォーマット。
リミテッドではなく、予め構築したデッキを用いるが、前回紹介した分類とも趣が異なるためこちらに記載。
土地など制約が大きいが、コモンのカードでも強力なものは山ほど存在する。
“貧乏”向けデッキと侮ると、痛い目を見ることになる。
<対戦方式での分類>
・統率者戦、EDH(エルダードラゴンハインランダー)戦
「統率者」と呼ばれる“伝説”のカードを選び、そのカードに含まれる色のカードのみで構築したデッキを用いる。
通常、多対多の多人数戦で、初期ライフも多めの40点。
使用するデッキに特徴があり、ハイランダー形式(基本土地以外は同名カードの使用不可)の100枚で対戦する。
多人数戦なので、ヘイトコントロールや話術も戦略の1つとなる。
アメリカでは大人気らしいが、日本ではガチ勢とカジュアル勢のバランスが難しいらしく、国民性が顕れているようだ。
近年は毎年のように「統率者セット」なる商品も発売され、財布を締め付けている。
・双頭巨人戦
二対二のチーム戦。
デッキは各々用意するが、デッキ構築時の枚数制限やゲーム中のターン、ライフをチームで共有する。
(チーム合計て同じカードは4枚しか使用できない。ライフは合計30点)
双頭巨人戦用セット「バトルボンド」では、“~との共闘”という特殊な能力を持つカードが登場した。
ぼっちには辛いフォーマット。
・魔王戦、アーチエネミー戦
「計略」と呼ばれる特殊な大型カードを使用する“魔王”側と、それ以外のプレイヤーとに別れて戦う、非対称型の変則フォーマット。
“魔王”側はライフも多く「計略」カードも強力極まりないが、他プレイヤーは協力しあい倒しにかかってくる。
過去、「Archenemy」と、少し間をおいて
背景ストーリーにも登場する「ニコル・ボーラス」を魔王役に据えた「Archenemy: Nicol Bolas」が発売された。
非対称ゲームの常でバランス調整が難しいと思われるが、単に勝敗を競うのではなく
TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム。クトゥルフ神話が有名)のGM(ゲームマスター、キーパー。進行役)とプレイヤーの感覚で臨むのがよいか。
・プレインチェイス戦
マジックの設定である「プレインズウォーカー」の能力「プレインズウォーク(次元渡り)」に着目したフォーマット。
各自のデッキの他、大型の「次元」カードや「事象」カードによる「次元」デッキ、「次元」ダイスを用いる。
商品としては「プレインチェイス」、「プレインチェイス2012」が発売された。
最近は見掛けもしない。
・ヴァンガード戦
統率者戦の基となったフォーマット。
「ヴァンガード」と呼ばれる大型カードを各自1枚選び、その特殊効果を用いて対戦する。
カードは何で発売、もしくは配布されたか知らないが、筆者は中古で集めた記憶がある。
コロコロコミックに掲載された漫画「デュエルマスターズ」にて初期にマジックを取り扱っていた際に描かれた対戦が思い出深い。
(ヴァンガードは主人公が「ミリー」、対戦相手が「スリヴァークイーン・ブルードマザー」だったと記憶している)
ちなみに上記「デュエルマスターズ」がマジックを扱っていたのは7巻まで。非常に残念。
※同名のカードゲームも登場してしまい、検索時に困ることも。
<その他の分類>
・パックウォーズ
リミテッドのように未開封パックを用いるが、使用するのは1パックのみ、中を見ずに基本土地を加えて対戦する。
(各種基本土地3枚ずつの15枚を用いる。土地事故用に「土地サイクリング」を採用する場合もある)
非常に運要素の強い対戦形式だが、安上がり。
パックウォーズののちに通常の構築戦を行えば、単に開封するよりも多く楽しめて経済的。
・(カジュアル)
正確にはフォーマットの括りではないと思うが、一応触れる。
特に明確な縛り、定めがない、いうなれば“無制限”フォーマット。
筆者の中では強さや制約を度外視して作成した「部族デッキ」や、(ネタ同然の)「コンボデッキ」が該当する。
強さ以外に拘ってしまったがための“無制限”である。
(同レベルの思想と資源で作成されたデッキ同士であれば、結果としてパワーバランスがよかったりする、かも)
上記以外にも、「ブロール」など様々なフォーマットや分類がある。
自分達でローカルルールを定め、調整し、好きなように楽しむことができるのもマジックの魅力だ。
筆者は「互いに同等の資産、条件」であれば基本的に問題ないと思っているが、全員が“楽しむ”ことを目指して対戦すべきだろう。
そのうえで勝てば嬉しいし、負ければ悔しい。
趣味とはそうあるべきだと筆者は思う。
MAGIC:the Gathering その3(フォーマット①)
せてさて、前々回にてマジックの魅力、前回はマジックの問題に触れた。
今回はその問題をいくらか解消、緩和できる制度「フォーマット」について筆者なりに記載する。
<「フォーマット」の必要性>
正確な話は公式サイトなどを参照頂くとして、簡単なイメージとしては「階級制」である。
ボクシングや柔道などでも採用されているが、広く考えれば多くのスポーツで年齢帯により区分けして競っていることがわかる。
体重や小/中/高校、大学~一般など、まとめて競うには隔たりが大きすぎる場合に採られる措置だ。
一方マジックは年齢や体格に左右されるものではないが、隔たりは確かに存在する。
“カード資産”だ。
例えば最初期から続けていてカードをコンプリートとしている人と、最近始めた人とでは
制限なしでデッキを構築した場合に腕前どうこう以前に勝負にならない。
お金をかければいい、新品でなくとも中古で買えばいい、となるかもしれないが
強くて魅力的なカードのなかには、既に絶版のため絶対数が限られ、入手が困難なものも多く存在する。
加えてマジックの黎明期には“ブッ壊れ”なカードも含まれているので、デッキが固定化したり一瞬で終わったりする。
何でもあり、が楽しいとも限らないのだ。
(今のマジックはたくさんの試行錯誤のうえに成り立っているのである)
<「フォーマット」の概要>
マジックにおける階級制は「フォーマット」といい
使用できるカードセット(基本セットやエキスパンション、特殊セット)によりいくつかの分類が存在する。
・スタンダード
・パイオニア
・モダン
・レガシー
・ヴィンテージ
それでは簡単に確認していこう。
<スタンダード>
発売後2年ほどの基本セット、およびエキスパンションのカードを使い対戦するフォーマット。
時期により使用できるカードセットが移り変わっていくため、最も変化の大きなフォーマット。
その時流通しているカードを使った構築戦なので、カード資産という意味では経験年数の影響が少ない。
もちろんデッキの構築そのものや対戦時のプレイングなどは経験や地力の差が出るものの、
比較的初心者が始めやすいフォーマットだと思う。
デッキ全体の金額にしても、他の環境より安く済むのではないだろうか。
ローテーションの度に古いカードは売る、なんて方もいるかもしれない。
パックやボックスから自分で引き当てたい派は、開封済みカード量がとんでもないことになるため
常に保管場所の確保に悩まされることになる。
※スタンダード関連のカードセットは年に4回ほど発売され、ローテーションで環境が常に変化する。
<パイオニア>
次に、スタンダードよりも使用できるカードが多く、ローテーションがない「パイオニア」だ。
比較的新しいフォーマットで、制定は2019年。
2012年10月発売の「ラヴニカへの回帰」以降のカードセットを使用できる。
ローテーションがないので、スタンダード環境で使用できなくなった思い入れのあるカードを、継続して活躍させることが可能だ。
なお「ラヴニカへの回帰」ブロックは、「ショックランド」と呼ばれる2色土地10種が再録されたエキスパンションであった。
それぞれ2つの基本土地タイプを持ち任意で好きな方のマナを生み出すことが出来るが
(ここまでは、かの「デュアルランド」と同じ)、
アンタップインさせるためには2点のライフを支払う必要があるという前のめりな土地だ。
筆者は初収録時(「ラヴニカ:ギルドの都」で初収録)はマジックから離れていたので、
「ラヴニカへの回帰」ブロックのボックスを買い漁り揃えた覚えがある。
※当時、再録前は大変に高額だったとか。
ちなみに筆者のカード資産的には、ちょうどパイオニア環境をカバーできている。
そんな数年前から続けているような人にも向いていると思う。
また期間的には「友好色フェッチランド」(例えば「平地」か「島」を“持ってこられる”「溢れかえる岸辺」)が再録で含まれるが
フォーマット上の「禁止」指定により使用できない。
そのためデッキ構築時の多色化の制約がやや強い。
※「タルキール覇王譚」に再録された友好2色のフェッチランド。モダン環境との差別化故か、フォーマット制定当時より禁止。
<モダン>
こちらも「パイオニア」同様ローテーション無しだが、カードプールの広さに大きな違いがある。
「モダン」はパイオニアより古くからあるフォーマットで、「第8版」以降のカードを使用することができる。
よく知られていることだが、それ以前のカード枠とは大きくデザインが異なるので、見た目でも区別が付きやすい。
フォーマット名称も“近代的な”となっている通り、新しさを意識したかったのだろう。
(一方で再録カードの旧バージョンを使用する場合、フォーマットイリーガルと勘違いされないよう注意が必要)
ここで触れておくと、カードの枠デザインは「第8版」にて大きく変わり、その後「オリジン」でも若干変わった。
筆者は密かに①旧枠(~スカージ)、②新枠(第8版~)、③最新枠(オリジン~)、と呼称していたため、
前記「パイオニア」が制定される前は③最新枠以降のフォーマットができると予想していたが、そんなことはなかった。
特殊土地である「フェッチランド」を使用できる環境であり、フェッチ+ショックはモダン多色デッキの嗜み。
その他、多種多様な特殊土地を用いることができ、構築の幅が広いフォーマット。
この辺りからそれなりにデッキの値段が高まる印象。
※対抗色のフェッチランドは「ゼンディカー」にて初収録。
<レガシー>
「レガシー」もまたローテーションがないが、モダンとの違いはなんとすべてのカードセットを使用できることである。
スタンダード環境を経た基本セットやエキスパンションの他、統率者セットなどの特殊セット(今回は触れない)に収録されたカードも使用できる。
いにしえの強力なカードは、まさに“遺産”。
ただし、前述フォーマットもそうだが「禁止」指定のカードが存在し、例えば俗に「パワー9」と呼ばれるカードは使用できない。
なおカードプールに期間的な制約がないことから、後述の「ヴィンテージ」とあわせ「エターナル」と呼ばれることもある。
「デュアルランド」を使用できるのもここから。
この辺りのフォーマットになると、第一線のデッキの値段は軒並み非常に高額になる。
ただし、環境がある程度固定化されているため、一度揃えてしまえばずっと使い続けられる面もある。
(参考までに、主要デッキをまとめている方のサイトはこちら→https://manuke.jp/mtg-legacy/)
<ヴィンテージ>
すべてのカードセットを使用できる点はレガシーと同様だが、大きな違いは「制限」カードの存在。
「禁止」カードではなく、デッキに1枚しか入れられない「制限」カードによりゲームを成立させている。
つまり、このフォーマットに限っては(ほぼ)どんなカードでも1枚までなら使用が許される。
かの「パワー9」を使用したいなら、このフォーマットを選択することになる。
(持っていれば、だが)
値段とかそういう次元ではなく、デッキ1つが車と同じ価値というのが笑いたくても笑えない話。
環境が違いすぎるので、スタンダードデッキでもまぐれで勝つこともある、かもしれない。
以上、カードセットによるフォーマットの分類を紹介した。
もっと正確な情報や「禁止」カードなどは公式サイトなどを参照頂きたい。
次回は上記以外のフォーマットに軽く触れて、終わりにしようと思う。
MAGIC:the Gathering その2
さて、引き続いてマジックについて。
今回はマジックに欠かせないシステムの根幹をなす「土地」に関する話を書く。
※マジックの土地はどれも美麗なイラストで描かれる。
<マジックにおける「土地」とは>
“マジックは土地ゲーだ”と言われるほど、「土地」は無くてはならないものである。
マジックのカードをプレイするには「マナ」が必要であり、その「マナ」は基本的に「土地」カードから得られるからだ。
このマジックの根幹をなすシステムがある以上、「土地」が重要なのはお分かり頂けるだろう。
(マジック以外では、コストに対するリソースが不要であったり、自動でリソースが生成されるゲームもある)
かつ土地カードは自分のターンに1枚ずつしかセット出来ないため、
例えば3ターン目に3マナのカードをプレイしようとするなら3ターン毎回土地カードをセットする必要がある。
マジックではシャッフルした各自のデッキから引いた7枚を初手、残りのカードを各々のライブラリー(山札)としたうえで
先手プレイヤーの1ターン目を除き、自身のターンに1枚ずつカードを引くことになる。
3ターン目までで3枚土地をセットするということは、
先手であれば7+2=計9枚、後手であれば7+3=計10枚のうち、少なくとも3枚が土地でなければならない。
上記のため、必然、デッキ内の土地割合はある程度高まる。
(一般的にはデッキの4割程度が望ましいと言われている)
マジックは60枚以上のデッキで対戦するのが最も一般的なため、都合24枚の土地が必要というわけだ。
※「激情の猛竜」は赤1マナを含む3マナで唱えることができる。
<土地事故・色事故について>
土地に関するゲーム的な用語として「土地事故」というものがある。
これはマジックに特有のもので、土地を引きすぎたり(マナフラッド)、逆に土地を引けなかったり(マナスクリュー)することだ。
誰もが経験するが、それゆえ苦心して土地の枚数を最適となるよう調整する。
それでも土地事故は起きるときには起きるが、それはもう仕方がない。
ランダム性のあるゲームなのだ、割り切って次のゲームに臨むしかない。
また、プレイしたいカードの「色」と合っていない土地ばかりを引くことを「色事故」という。
「平地」、「島」、「沼」、「山」、「森」の土地カードは、それぞれ「白」、「青」、「黒」、「赤」、「緑」のマナを生み出すことができるが、
例えば青を含むカードをプレイしたいのに、青マナを生み出す「島」カードを引けず他の土地ばかりを引いてしまう、という状況を「色事故」という。
※「空猫の君主」は白と青の1マナずつあれば唱えられるが、青マナを出せないので唱えられない。
マジックは色毎に得意な役割が決まっているゲームだ。
「色事故」は特に好き勝手に強いカードをデッキに詰め込んだことで多色化した場合に起こりやすく、
調整の結果、涙を飲んで単色のデッキにすることもあるかもしれない。
(単色化すれば、その色の得意なカードしか使えないが、色事故は無くなるのだ)
だが、もしも。
もしも1枚の土地で、状況に応じて複数の色を生み出すことが出来たなら・・・?
そんな欲張りな夢を叶える土地が、実はある。
「特殊土地」だ。
※「イコリア:巨獣の棲処」にも、タップイン(セットしたターンはマナが出ない)だが特殊土地が収録されている。
※土地枚数が同じでも、青マナも出せる「ラウグリンのトライオーム」が出ていれば「空猫の君主」を唱えられる。
<「基本土地」と「特殊土地」>
先に記載した「平地」、「島」、「沼」、「山」、「森」は「基本土地」と呼ばれる基本的な土地カードである。
「特殊土地」とは、「基本土地」以外の土地全般を指す。
「基本土地」については選り好みしなければ入手も容易で価格も安い。
ブースターパックを購入すればいずれか1枚がランダムではあるが封入されており、全体としての流通量も多い。
「エントリーデッキ」や「構築済みデッキ」と呼ばれるテーマ毎に予め構築されたデッキを購入すれば、デッキに合う土地が十分手に入るだろう。
場合によってはお店でくれるかもしれないし、長年プレイしている友人から貰うことも可能だろう。
(マジックは常に新たなプレイヤーを求めて止まないのだ)
一方、「特殊土地」と呼ばれる土地カードはそうではない。
「特殊土地」は「基本土地」以外の土地カードと思って差し支えないが、レアリティが高く設定されていることがほとんどであり、結果価格も高くなる。
『「Toropical Island」あげるよ』なんて言ってくる人はどこを探してもいないだろう。
<土地に関する負の側面>
上記を踏まえたうえであえて書くが、土地に関する負の側面、それはお金である。
というと見も蓋もないし、トレーディングカードゲームなのだからお金はかかるのが当然である。
なのでもう少し掘り下げて書いていこうと思う。
まず「特殊土地」で代表的なカードといえば「デュアルランド」であろう。
先に書いた「Toropical Island」もその一種だが、これは「緑」か「青」のうち好きなマナを生み出す土地だ。
「島」と「森」の2枚分の役割を兼ね備えており、セットしたターンから状況に応じて好きな方のマナを得ることができる。
するとどうだろう?
色事故によって泣く泣く諦めた“ぼくの考えたさいきょうの多色デッキ”が現実味を帯びてきたではないか。
そしてカードを買おうと値段を調べ、一様に愕然とするのである。
「高過ぎる」と。
そもそもマジックは他のカードゲームに比べてお金のかかる、特に初期投資が必要なゲームと言われている。
15枚入りカードパックが36パック入ったブースターボックスは、一万円を超える。
当然カードショップに並ぶ中古カードも高いのだが、「デュアルランド」は1枚で数万円するのである。
(マジックには土地以外にも1枚で数百万円するカードがあるのだから驚きである)
マジックに慣れ親しみ、その強さと価値がわかる歴戦のプレイヤーならまだしも、これから参入しようというプレイヤーは大きな壁を感じることだろう。
新規参入の障害になっていることは間違いない。
事実、筆者もそうであったし、何なら今でもそうである。
ここまでカード資産がものをいうゲームもあるまい。
ものが「土地」ならなおさらだ。
かっこいいクリーチャーや強力な呪文でなく、「土地」でこの値段?というのは理解されにくいものである。
では諦めて妥協しなければならないのか?といえば、必ずしもそうではない。
次回、妥協せずともそれぞれの資産を活かせる制度、「フォーマット」について記載したいと思う。
MAGIC:the Gathering その1
まずは筆者の趣味のウェイトを大きく占める、カードゲーム「MAGIC:the Gathering」について。
概要や詳細は公式サイト(https://mtg-jp.com/)やWikipediaを見てもらうとして、今回は筆者なりに魅力を伝えようと思う。
※画像は2020年4月17日に発売となった最新の拡張セット「イコリア:巨獣の棲処」だ。
「MAGIC:the Gathering」(以下マジック。ギャザとも呼ばれる)は、カードゲーム界では有名な対戦型カードゲームの一種である。
最近は対戦せず専らコレクターと化している筆者であるが、
様々なトレーディングカードゲームの“はしり”であるマジックは絵もきれいで奥が深く、眺めたりデッキを夢想するだけでも楽しめる。
カードやデッキ(対戦するためのカードの束)の種類も多く、それらを取り扱うサイトや記事も多く存在する。
カードゲーマーを取り扱ったWebコミックを連載している方もいる。
実際、それらを読むのも筆者の楽しみの1つである。
*記事のおすすめ → 岩SHOWの「デイリー・デッキ」(https://mtg-jp.com/reading/iwashowdeck/)
*Webコミックのおすすめ → MTGガールズ(仮)(http://mtggirls.soragoto.net/)
またこのカードゲームには「背景ストーリー」が存在し、カードに描かれるキャラクターやモンスター(クリーチャーという)、
それらを従えるプレインズウォーカーと呼ばれる魔術師たち(設定上、プレイヤーもその一人だ)に厚みと愛着を持たせているのだ。
「ウルザ」、「ミシュラ」、「ジェイス」など人気のあるキャラクターもたくさんおり、
カードに書かれるフレイバーテキストも想像を膨らませる。
(キャラクターの活躍はhttp://mtgwiki.com/wiki/などでも確認できる)
と、まだまだ魅力はたくさんあるのだが、カードゲームそのものに触れていなかった。
ゲームの形態としては自分が集め、厳選した「デッキ」で、基本的には一対一で対戦相手と戦うものだ。
“基本的には”というのは他にも遊び方があるためで、筆者は経験がないが多人数戦も存在する。
(二対二、多対多、特殊なカードを必要とするが一対多での対戦も可能だ)
それらのなかで、ターンを交代しながらデッキのカードをプレイし、
召喚したクリーチャーで攻撃し、呪文の効果を使い、はたまたアーティファクトと呼ばれる道具を駆使して勝利を目指す。
勝利条件は相手のライフを0にするのが一般的だが、他にも相手がカードを引けなくなる状態にするライブラリーアウト(LO)戦術や
カードによっては記載された条件を満たすことによる特殊勝利が存在する。
複数のカードの効果を組み合わせることによる「コンボ」もあり、2枚で即勝利、というケースもある。
またこのカードゲームの特徴として、カードをプレイするためのコストである「マナ」の存在がある。
それぞれのカードは好き放題使えるわけではなく、カードに応じた「マナ」を必要とするのだ。
マナは自分のターンに1枚ずつセットできる「土地」から得られるのだが、
マナには「白」、「青」、「黒」、「赤」、「緑」の基本5色や無色マナが存在するうえプレイするカードによって必要なコストや色が異なる。
それに応じた「土地」をデッキのなかに適度にバランスよく組み込んでいなければならない。
それがプレイヤーに、より複雑さと楽しさを提供してくれる!
・・・のだが、実は大きな問題もはらんでいる。
次回は、マジックに欠かせない「土地」について書こうと思う。