MAGIC:the Gathering その2
さて、引き続いてマジックについて。
今回はマジックに欠かせないシステムの根幹をなす「土地」に関する話を書く。
※マジックの土地はどれも美麗なイラストで描かれる。
<マジックにおける「土地」とは>
“マジックは土地ゲーだ”と言われるほど、「土地」は無くてはならないものである。
マジックのカードをプレイするには「マナ」が必要であり、その「マナ」は基本的に「土地」カードから得られるからだ。
このマジックの根幹をなすシステムがある以上、「土地」が重要なのはお分かり頂けるだろう。
(マジック以外では、コストに対するリソースが不要であったり、自動でリソースが生成されるゲームもある)
かつ土地カードは自分のターンに1枚ずつしかセット出来ないため、
例えば3ターン目に3マナのカードをプレイしようとするなら3ターン毎回土地カードをセットする必要がある。
マジックではシャッフルした各自のデッキから引いた7枚を初手、残りのカードを各々のライブラリー(山札)としたうえで
先手プレイヤーの1ターン目を除き、自身のターンに1枚ずつカードを引くことになる。
3ターン目までで3枚土地をセットするということは、
先手であれば7+2=計9枚、後手であれば7+3=計10枚のうち、少なくとも3枚が土地でなければならない。
上記のため、必然、デッキ内の土地割合はある程度高まる。
(一般的にはデッキの4割程度が望ましいと言われている)
マジックは60枚以上のデッキで対戦するのが最も一般的なため、都合24枚の土地が必要というわけだ。
※「激情の猛竜」は赤1マナを含む3マナで唱えることができる。
<土地事故・色事故について>
土地に関するゲーム的な用語として「土地事故」というものがある。
これはマジックに特有のもので、土地を引きすぎたり(マナフラッド)、逆に土地を引けなかったり(マナスクリュー)することだ。
誰もが経験するが、それゆえ苦心して土地の枚数を最適となるよう調整する。
それでも土地事故は起きるときには起きるが、それはもう仕方がない。
ランダム性のあるゲームなのだ、割り切って次のゲームに臨むしかない。
また、プレイしたいカードの「色」と合っていない土地ばかりを引くことを「色事故」という。
「平地」、「島」、「沼」、「山」、「森」の土地カードは、それぞれ「白」、「青」、「黒」、「赤」、「緑」のマナを生み出すことができるが、
例えば青を含むカードをプレイしたいのに、青マナを生み出す「島」カードを引けず他の土地ばかりを引いてしまう、という状況を「色事故」という。
※「空猫の君主」は白と青の1マナずつあれば唱えられるが、青マナを出せないので唱えられない。
マジックは色毎に得意な役割が決まっているゲームだ。
「色事故」は特に好き勝手に強いカードをデッキに詰め込んだことで多色化した場合に起こりやすく、
調整の結果、涙を飲んで単色のデッキにすることもあるかもしれない。
(単色化すれば、その色の得意なカードしか使えないが、色事故は無くなるのだ)
だが、もしも。
もしも1枚の土地で、状況に応じて複数の色を生み出すことが出来たなら・・・?
そんな欲張りな夢を叶える土地が、実はある。
「特殊土地」だ。
※「イコリア:巨獣の棲処」にも、タップイン(セットしたターンはマナが出ない)だが特殊土地が収録されている。
※土地枚数が同じでも、青マナも出せる「ラウグリンのトライオーム」が出ていれば「空猫の君主」を唱えられる。
<「基本土地」と「特殊土地」>
先に記載した「平地」、「島」、「沼」、「山」、「森」は「基本土地」と呼ばれる基本的な土地カードである。
「特殊土地」とは、「基本土地」以外の土地全般を指す。
「基本土地」については選り好みしなければ入手も容易で価格も安い。
ブースターパックを購入すればいずれか1枚がランダムではあるが封入されており、全体としての流通量も多い。
「エントリーデッキ」や「構築済みデッキ」と呼ばれるテーマ毎に予め構築されたデッキを購入すれば、デッキに合う土地が十分手に入るだろう。
場合によってはお店でくれるかもしれないし、長年プレイしている友人から貰うことも可能だろう。
(マジックは常に新たなプレイヤーを求めて止まないのだ)
一方、「特殊土地」と呼ばれる土地カードはそうではない。
「特殊土地」は「基本土地」以外の土地カードと思って差し支えないが、レアリティが高く設定されていることがほとんどであり、結果価格も高くなる。
『「Toropical Island」あげるよ』なんて言ってくる人はどこを探してもいないだろう。
<土地に関する負の側面>
上記を踏まえたうえであえて書くが、土地に関する負の側面、それはお金である。
というと見も蓋もないし、トレーディングカードゲームなのだからお金はかかるのが当然である。
なのでもう少し掘り下げて書いていこうと思う。
まず「特殊土地」で代表的なカードといえば「デュアルランド」であろう。
先に書いた「Toropical Island」もその一種だが、これは「緑」か「青」のうち好きなマナを生み出す土地だ。
「島」と「森」の2枚分の役割を兼ね備えており、セットしたターンから状況に応じて好きな方のマナを得ることができる。
するとどうだろう?
色事故によって泣く泣く諦めた“ぼくの考えたさいきょうの多色デッキ”が現実味を帯びてきたではないか。
そしてカードを買おうと値段を調べ、一様に愕然とするのである。
「高過ぎる」と。
そもそもマジックは他のカードゲームに比べてお金のかかる、特に初期投資が必要なゲームと言われている。
15枚入りカードパックが36パック入ったブースターボックスは、一万円を超える。
当然カードショップに並ぶ中古カードも高いのだが、「デュアルランド」は1枚で数万円するのである。
(マジックには土地以外にも1枚で数百万円するカードがあるのだから驚きである)
マジックに慣れ親しみ、その強さと価値がわかる歴戦のプレイヤーならまだしも、これから参入しようというプレイヤーは大きな壁を感じることだろう。
新規参入の障害になっていることは間違いない。
事実、筆者もそうであったし、何なら今でもそうである。
ここまでカード資産がものをいうゲームもあるまい。
ものが「土地」ならなおさらだ。
かっこいいクリーチャーや強力な呪文でなく、「土地」でこの値段?というのは理解されにくいものである。
では諦めて妥協しなければならないのか?といえば、必ずしもそうではない。
次回、妥協せずともそれぞれの資産を活かせる制度、「フォーマット」について記載したいと思う。